棗に関する逸話

茶人の言葉 (利休百種より) 利休が和歌の形を形を借りて 茶道の精神手前作法の心得などを 分かりやすく31文字にまとめ 百種集めたもの




何にても道具扱ふたびごとに
取る手は軽く置く手重かれ

何にても置き付けかへる手離れは
恋しき人にわかるるとしれ


茶入れ 棗 茶筅などどれも手に取るときは 手軽に思えるが 置いて話すときは 恋人に別れを
      告げるように 余情をもたすと 道具はしっかり定座に据わるし さらに無限の味が生まれる
      ただ ここで言う重くとは 置くときの気持ちを言った物であり 扱い方を つまり動作を
      ゆっくりとかのろくするようにと 言うことではない





手前こそ薄茶にあれと聞くものを
そ相になせし人はあやまり



相伝物だから あるいは濃茶だから丁寧に手前をするというのは誤りである むしろ薄茶に手前の巧拙さがもっとも
よくあらわれる 薄茶の手前がしっかり出来ていないのでは 台子の手前はもちろん濃茶さえたてられないと言うこと
何事も基本が大事であるということの意味





中継は胴を横手にかきて取れ
茶杓は直におくものぞかし

中継ぎは中次とも書く薄茶器の一つである 胴を横手にかきて取れ とは、胴を横手に取るように
と言う意味  中次は蓋が深いので棗のように蓋の上から握るようにしては 持てないので胴の横に手をかけて持つのである
中次の蓋は丸みがなく水平なので茶杓を置くときはまっすぐに置くのである
言い換えると棗の蓋は丸みがあるので茶杓も丸みをもたして置き 中次は水平になっているので水平に置くことになる




棗には蓋半月に手をかけて
茶杓を円く置くことそしれ

棗の扱い方について 棗の蓋を半月に持つと言うことは、棗の蓋を上から掴むように持つと
蓋の表面と指との間に三日月形の隙間が出来る それを半月と言ったのである
茶杓を円く置くというのは棗の向こうから 置いて次第に手前の方へ下ろすと言う意味である


薄茶入蒔絵彫もの文字あらば 順逆覚え扱ふと知れ


薄茶器には 真塗や溜塗りのの無地ばかりではない 蒔絵のあるもの 堆朱 椎黒 鎌倉彫 木地に拭き漆を
施した物 又詩中次ぎや和歌のちらし書き蒔絵のように蓋から胴にかけて文字のあるものがある
このような棗を用いるときは蓋と胴との合い口を 良く見定めて蒔絵や文字があわなくなるような
ことがないように 注意すべきである
さらに こうしたものには模様に表裏があるので それも良く見定めて 拝見にだすとき模様や文字の
裏が客のほうに 向かわないようにすべき。
さらに 点前をする亭主だけでなく客になった場合も表裏を見定めてから拝見すべきである
 


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